ウレタン樹脂

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1. 樹脂の概要

ウレタン樹脂は、狭義には分子内にウレタン結合を有する化合物ですが、より広義にはウレタン結合の他にウレア結合、ビゥレット結合、アロファネート結合、カルボジイミド結合等、イソシアネート化合物から誘導される樹脂全般を指します。1937年にドイツの Otto Bayer らによって、ポリウレタンの実用化が発見されて以来、現在ではゲル状からエラストマー、さらには硬質プラスチックや断熱材及びクッション等に使用されるフォームまで、その用途は多岐に渡っています。このような幅広い用途に適用できるのは、原料の選定により自由に設計が可能であることに由来しており、ウレタン樹脂の最大の特長と言えます。

2.反応のメカニズム

ウレタン結合の生成の基本反応は、イソシアネート基と水酸基の反応です。水酸基の求核酸素原子がイソシアネート基の求電子炭素と反応し、ウレタン結合を生成します。ポリウレタン樹脂は前述の反応を用い、二官能以上のイソシアネートと二官能以上のポリオールの重付加反応によって得られます。重付加反応の特徴として、副生成物の発生が無いこと、定量的に反応が進行するため分子設計が容易であることが挙げられます。また、原料であるイソシアネートやポリオールはそれらの分子構造により、各反応性が異なることが知られています。例えばイソシアネートは共鳴構造によって炭素の求電子性が高まるため芳香族系の方が脂肪族系に比べて反応性が高くなります。一方でポリオールは立体障害の関係から、第一級>第二級>第三級アルコールの順で反応性が高くなります。通常、ウレタン化反応は反応速度が速いため、室温で加熱することなく無触媒においても自発的に進行しますが、実際には加熱や触媒によって反応速度をコントロールし、使用状況に応じて物性が発現するよう設計されています。触媒としては、スズ等の有機金属触媒や、第三級アミンなどが使用されます。

3.特長・メリット

ウレタン結合は強い凝集エネルギーを持っているため、ハードセグメントであるウレタン結合同士の分子間力(水素結合)によりハードドメインと呼ばれる局在化した凝集体を形成します。この凝集体はミクロ相分離構造と呼ばれ、この凝集体が強く形成されると、硬化物中に結晶質部分と非晶質部分が混在し光が屈折・散乱して不透明になります。意図的にミクロ相分離構造を形成させることで、水素結合に由来する疑似的な架橋点が増えるため、常温域での高伸び性や強靭性、耐衝撃などが発現します。熱硬化性樹脂でありながら、共有結合性以外の構造によって、特異的な性質を付与することができるのがウレタン樹脂の特長となります。また、構造や分子量分布のコントロールにより、弾性体から緩衝体、分子鎖の選択により耐熱性や耐水性、さらには吸水性の設計が可能です。

4.用途

ウレタン樹脂は原材料の選定により特長ある性能を付与することが可能なため、様々な用途に使用されています。例えば、軟質・硬質フォーム、エラストマー、塗料、粘接着剤、シーリング材、土木建築用材、人工皮革、封止材等として工業材料、医療材料、家庭生活材料などの幅広い分野で用いられています。

① 各種電子部品(車載含む)

ウレタン樹脂の特長のひとつとして柔軟性が挙げられます。応力緩和性や振動吸収性に優れているため、センサー等に適用され、あらゆる環境因子から部品保護をしています。特に車載用途では、低いガラス転移温度および耐熱性の要求に対して、高機能化したウレタン樹脂の適用範囲は広がっています。

➁ 工業用モデル/低圧RIM

家電、自動車業界では量産前に形状、デザインを確認するために試作が行われることが一般的です。高額な金型を用いずに試作を行う方法として、真空注型という工法があります。真空注型はマスターモデルを元にシリコーンゴムで作製した型に、真空下でウレタン材を注型する工法です。ウレタン材には、ABS、PP、エラストマー、アクリルに相当する材料がラインナップされています。当社は国内および中国市場で高いシェアを有しています。また、エアロパーツのような特殊な大型自動車装飾品の試作においては、低圧RIMという工法が採用されています。FRPやエポキシパテなどで作った樹脂型に速硬化性のRIM材を注入して成形します。試作のみではなく、少量生産の量産品に用いられることもあります。

③ 靴底用エラストマー/ウレタンゲル

ウレタン樹脂は、柔軟性がありエラストマーやゲルに広く利用されています。ウレタンエラストマーは強いミクロ相分離構造をとらせることによって、物性のコントロールを実施しています。当社では、エラストマー配合技術を利用して、弾性接着剤や弾性塗装材等への用途拡大を図っています。例えば、マラソンシューズに採用されている当社製品MU-697は、高強度、高伸び性、グリップ性、耐摩耗性に優れています。 また、ゲル材は可塑剤等の非反応性成分によって、低硬度化を実現しています。しかしながら、経時的なブリードアウトや密着不良の問題を抱えています。このような背景から当社では可塑剤レスのウレタンゲルを開発しています。耐震用ゲルへ適用されるなど、様々な用途への展開を検討しています。

④ ウレタンフォーム

断熱材やクッション等に使用されるウレタンフォームは発泡剤として溶剤系を使用する場合があります。当社では、溶剤などを使用せず水発泡による環境対応型の処方を進めています。装飾用等での採用実績があり、クリームタイムが長い(作業性に優れる)特長を有しています。

⑤ 非黄変材/透明材

シール、ワッペン等に高級感を出すため、透明樹脂を基材上にポッティングする技術をドーミング加工と呼びます。当社の耐候性に優れたウレタン材MU-636シリーズは車載、家電等のエンブレムとして高いシェアを持っています。さらに、この配合技術を利用して、食品サンプル、LED、導光材、コート材への用途拡大を進めています。

当社関連製品

ペルウレタン<電気、試作モデル用ウレタン樹脂>

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