エポキシ樹脂

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

1.樹脂の概要

 エポキシ樹脂はエンジニアリングプラスチックの1種です。プラスチック材料には、熱を加えると軟化して冷却すると硬化する熱可塑性樹脂と、加熱して化学反応を起こして硬化する熱硬化性樹脂の2種類があり、エポキシ樹脂は熱硬化性樹脂に分類されます。

2.エポキシ樹脂とは

 エポキシ樹脂の硬化物構造は3次元の網目構造を有するため、他の一般的な有機樹脂の硬化物と比較して、硬く化学的に安定であることが知られています。世界初のビスフェノール型エポキシ樹脂が開発されて以降、日用品から先端材料まで幅広い用途展開がはかられ、電気、塗料、土木・接着を中心とする用途で使用が拡大し、スマートフォンなどをはじめとする電化製品のほぼすべてに使用されています。

エポキシ樹脂には下記のような特長があります。  

耐熱性…分子構造が三次元ネットワークになっているため高温に耐えられます。
●接着性…接着性が高く、金属・コンクリートなど様々な素材を接着できます。
●機械的強度…強靭性が高く、高強度が必要とされる炭素繊維複合材量(CFRP)用途に使用できます。
●電気絶縁性…電気を通さないため絶縁体として使用できます。
●寸法安定性…硬化時に収縮しにくく、サイズ精度の高いパーツに使用できます。
●耐薬品性・耐水性・耐湿性…分子構造が三次元ネットワーク構造を形成しているため、どんな溶媒でも溶けません。そのため、飲料缶の塗装・船舶塗装・コンクリート用途などに使用できます。

硬化物は耐熱性・密着性・絶縁性のなどのバランスが良く、透明性・柔軟性といった特性も選択できることから先端材料としてのみならず、接着剤・土木建築・塗料・複合材料・ホビーなど様々な用途で広く使用されます。

3.反応メカニズム

 エポキシ樹脂は単独で反応することはありません。そのため、硬化剤や触媒と組み合わせて硬化させる必要があります。エポキシ樹脂の反応は、エポキシ環(オキシラン環)と呼ばれる部位の開環を伴う付加重合や開環重合により進行するため、反応後は副生成物を出さないのが特徴となります。反応によって得られる硬化物の分子構造は、最終的に三次元網目構造を形成します。そのため不溶不融で、耐熱性の高い硬化物が得られます。代表的な硬化剤としては、アミン化合物・酸無水物・塩基性触媒やルイス酸触媒などが用いられます。

以下にエポキシ樹脂の代表的な硬化反応系について示します。

①エポキシ樹脂とアミン化合物との付加反応 アミン化合物との反応は、エポキシ樹脂の硬化反応に最も広く用いられている反応です。基本的には常温下でエポキシ樹脂と反応し、強靭で接着性に優れた硬化物が得られます。種類としては、脂肪族ポリアミン・脂環式ポリアミン・芳香族ポリアミン・変性ポリアミドアミンなどが挙げられ、用途や硬化条件により使い分けます。

②エポキシ樹脂と酸無水物との共重縮合反応 酸無水物との反応では加熱硬化(100℃以上)が必要となりますが、酸無水物の粘度が低いため作業性が良く、混合後のポットライフも長いため、取り扱いに優れています。硬化物としては高Tgかつ電気絶縁性・機械的特性・耐熱安定性に優れた硬化物が得られます。アミン化合物と比較して安全性が高いため、電気・電子絶縁材料分野では最も一般的に使用されている硬化剤になります。

③塩基性あるいは酸性触媒によるエポキシ樹脂同士の自己重合 エポキシ樹脂はアニオン重合・カチオン重合・配位重合いずれも硬化可能な樹脂です。中でもイミダゾール類などの塩基性触媒によるアニオン重合が一般的に使用されることが多いです。他の硬化剤と異なり、エポキシ樹脂に対して少量の添加で硬化させることができ、120℃~150℃の硬化温度条件下で短時間硬化し、高Tgの硬化物が得られます。

4.用途

 エポキシ樹脂には様々な特長・メリットがあることから、多種多様な用途に使用されています。代表的な用途としては以下のようなものがあります。

① 各種電子部品

関連製品カテゴリ:発光ダイオード用樹脂 車載電装品、各種センサー用樹脂
         ペルコート

電子部品に使用される封止材は優れた電気絶縁性、機械特性、熱特性等を有することが必要となります。電子部品には受動部品、LEDセンサー、車載用電装部品等といった様々なものが存在するため、封止材には成形の自由度の高さも必要です。エポキシ樹脂を封止材として用いることで、これらの要求を満足することができます。

➁半導体

関連製品カテゴリ:半導体用樹脂

半導体が組み立てられた後、半導体チップと基板やリードフレームがボンディングワイヤによって接合されます。この際、半導体チップやボンディングワイヤの損傷を防ぎ、さらにデバイスとしての信頼性を向上させるため、樹脂による封止が一般的です。封止樹脂は半導体チップや基板との接着性、耐熱性、絶縁性、熱膨張率、機械的強度などさまざまな性能が求められいます。封止樹脂の中でもエポキシ樹脂封止材は高い耐熱性と機械的強度が特徴であり、上記の要求を満足できることから、半導体の封止樹脂として使用されています。

③塗料

関連製品カテゴリ:ペルパウダー ペルコート

エポキシ樹脂は優れた密着性や耐水性、絶縁性などからコーティング材としても使用されています。使用されるエポキシ樹脂は大きく分けて液状塗料と粉体塗料があり、使用用途によってさまざまな塗装方法があります。当社では主に電子部品の外装塗料やブスバー等の金属への塗装を得意としております。

④接着剤

関連製品カテゴリ:一液性樹脂 エポタック  UV硬化型樹脂

エポキシ樹脂は、優れた接着力・密着力を有しています。このため、産業用~民生用まで幅広く接着剤として利用されています。接着強度はエポキシ樹脂だけでなく、硬化剤の種類や骨格によっても左右されるため、接着させる材料(被着体)により最適な組み合わせがあります。当社では一液、二液どちらのタイプもご用意しています。


当社関連製品

関連ブログ

NEW / PICK UP PRODUCTS

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

お気軽にお問い合わせください サンプル、SDS、詳細データ、成分表などをお問い合わせいただけます。

ページトップへ戻る