
開発のきっかけ
熱硬化性樹脂製品の硬化時間を、もっと短くして欲しいという要望
近年、競争力の強化のため、生産性向上によるコスト低減が重要視されるようになってきています。弊社で扱っている熱硬化性樹脂製品に対しても、「もっと硬化時間を短くして欲しい」といったご要望が数多く寄せられています。
例えば、一般的な熱硬化性エポキシ樹脂では硬化に最低でも数十分が必要ですが、実際にお客様から求められているのは数十秒~数分といったレベルのものです。このため、弊社ではUV硬化に着目し、数十秒で硬化が可能な紫外線硬化型接着剤の開発を進めることとしました。
課題
UV照射だけで、UV光が届かない部分まで硬化させられないか?
紫外線硬化型の接着剤の開発を進めるにあたり、あるひとつの課題に着目しました。それは『UV照射だけで、UV光が届かない部分(影部、遮光部)まで硬化させられないか?』という課題です。

具体的には、一般的なUV硬化型の材料では、図のようにUV光が届かない部分は反応が進行しないため硬化しません。そのため、影部や遮光部がある場合には熱硬化もしくは湿気硬化を併用したデュアル硬化が多く用いられています。しかしながら、デュアル硬化は以下のような問題点を抱えています。
- 熱硬化併用の場合、追加で加熱工程が必要、また熱に弱い部材には使えない
- 湿気硬化併用の場合、養生時間が長く一週間近くかかる場合がある
そこで、この課題を解決すべくプロジェクトチームを組み検討を進めることとしました。
開発品のご紹介
プロジェクトチームでの検討の結果、約5~10mm の遮光部 (影部・暗部) があっても、UV照射のみで硬化が可能であるとのテスト結果を得ました (下図を参照)。今後は、実用化に向けて接着性や各種信頼性試験に対応できるような改良を検討していく予定です。

特性表

用途例
- 筐体とボス部品などの接着
- 電子部品関連の封止や注型
- コイルの端末止め
- 各種シール用途、フィルムコンのOリング接着
- OCRなどの光学用途
✓影部や遮光部があるので紫外線硬化の接着剤や封止剤が使用できない
✓紫外線で硬化したのに、アフターキュアが必要
✓短時間硬化で生産ラインの効率をあげたい!
✓加熱炉での硬化をやめたい!
開発1グループ 安永/IV戦略室 渡邊
開発品に関するお問い合わせ
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